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ホームページリニューアルの予算

初版公開日:2019/4/14

最終更新日:2019/4/29

検索サイトからこのページに訪れた人はホームページリニューアルの大体の金額や相場を知りたいと思っていると思いますが、残念ながら要件により幅があり過ぎるため、いくらくらいですと明示することは叶いません。

一軒家を建てるのにどれくらいの料金がかかるのかを調べているのと同じだとご理解ください。

家の価格が決まるのには、土地、建てる場所、広さ、間取り、建材、依頼する会社など、それはもうとにかく多岐に渡る項目の決定が必要になります。

ホームページも同様で何を作るのかの要件によって大幅に料金が異なります。

10万円では家が建たないのと同じで、1万円で100ページのホームページのリニューアルをするのは難しいというのいうのは肌感覚でわかって頂けるかと思いますが、10万円ならできるのか、100万円ならどうかというのも要件によってどうしても違ってきてしまいます。

では、このページでは何を伝えたいかということですが、実際の金額や相場観というよりも、どのような考え方で見積りが作られるのかや、どういった要素が金額を大きく左右するのかを説明できればと思います。

どれくらいの予算を見込むべきか

どれくらいの予算をかけるべきかは会社の規模や望む目的によって大きく変わってきます。

当然、ない袖は振れないと思いますので、使用できるMAXの金額はおのずと決まってくるかと思いますが、幅を持たせてでも良いので、ある程度の予算感を決めておくと、その予算に見合った企画を提示して貰えます。

足元を見られないためにも予算は見せたくないという想いもあるかと思いますが、相手を信頼していない状態では良い提案は受けられないでしょう。

詳細まではいりません。「すべて含めて200万円以内でなんとかしたいと思っている。ただ、とても素晴らしいと思える企画があればもう少しなら出るかもしれない」これくらいの情報だけでも制作会社は様々なことを絞ることができ、以下のように前向きになれます。

  • 1,000万円かかるような企画は提示しても無意味だな
  • 300万円目一杯出して貰える企画はどれだろうか。きちんと収めるために金額の裏取りもしなければ
  • もう少し出して貰えるよう、さらに追加の納得して貰える案も考えよう

これがまったく予算が提示されない場合だと、

  • 結構予算あるかもしれないから1,000万円かかるような企画もとりあえず出しておこう
  • 課題をクリアするにはこの企画がいいな。予算が出るかもしれないから少し多めの概算でいいか
  • 予算が決まってないということはもしかしたら実行されない可能性もあるのかな?優先度低めでいいや。

ということになりかねません。

かなり大袈裟に表現していますが、予算を伝えることがマイナスになる訳ではないということを理解して頂ければと思います。

もしもどうしても心配であれば、本来の予算よりも少し低めに伝えれば余裕を持てるでしょう。

ホームページの費用対効果から予算を考える

予算を検討するには費用対効果を調べてそれに見合う分だけ投資するのも一つの方法です。

ホームページから1万円の商品が月に100個売れている状態から、リニューアルをしたら150個売れるようになるとすると50万円分の売上が毎月プラスになり、これを1年継続すれば600万円分です。

制作費を一年で回収すればよければ600万円かけても良いかもしれません。

もちろんプロジェクト自体にかかる内部的な人件費などもあるのでこれほど簡単な計算にはなりませんが、これが効果に対してどれだけの投資をしていつまでに回収をするのかを考えるという道筋になります。

これだと600万円をかけてしまうと1年かけてやっと回収できるので、黒字になるのは13ヶ月後からになります。※リニューアルせずとも100個の売れ行きが変わらないと仮定した場合

ここで一番難しいのは効果を計る部分にあるでしょう。

売上を求めるだけのサイトであれば簡単ですが、求職者の数を増やすことや会社の知名度を上げることが目的だった場合、その目標値はどのような金額換算になるでしょうか。

求職者が一人増えるのはどれくらいの価値があるのか、知名度が1%増えるのはどれくらいの価値があるのかを明確にしなければならないため、なかなか費用対効果だけから予算を論理的に算出するのは難しいのかもしれません。

見返りを無視した投資ということでなければ費用対効果は決して無視はできませんので、無理やりでも目標値と現状の差分を金額換算して費用対効果を求められるようにしましょう。

見積りを見比べてから予算を確定するのもあり

ある程度の予算感を持った状態で複数社の見積りを見比べると、やりたいことをやるのにだいたいどれくらいの予算が必要なのかが見えてくると思います。

どこまでやったらいくらで、何を諦めたらいくらになるという組み合わせも考えることができるようになりますので、提示された見積書と書かれた内容を吟味しましょう。

関係会社が間に入れば入るほど高くなる

説明するまでもないですが、最終的に制作を請け負う会社が遠ければ遠い程高くなります。

これは小売りの生産と販売の距離と同じです。会社が一社挟まるごとに利益が50%乗るとすると、代理店を1社挟むと本来100万円で制作できるものが200万円、2社挟まると400万円となります。

驚きですね。

現実はこれほど簡単な計算にはなりませんが、そのような仕組みであることは知っておいた方が良いでしょう。

知っておくというのは、その差額に見合った働きや安心感、介在価値がその間に入る会社にあるかどうかを見極める必要があるということです。

高いものはそれだけで高価値であるという分野もあるとは思いますが、ホームページのリニューアルに関して言えばそこまで明確なものは殆どないと言えるでしょう。

コンペを開いて複数の見積りが出揃った際に、やる内容や項目が殆ど変わらないのにも関わらず大きな金額の違いがあった場合は、その会社が実際に制作をする制作会社なのか、それとも制作は別会社に再委託する代理店なのかを見極め、その金額の差の価値を見極めましょう。

高い方が良いということもなければ、安い方が良いということでもありません。

安過ぎて不安、高い方が安心という気持ちが沸くのは仕方がないことですが、どの項目にいくらかかるのかを腹落ちするまで詳しく説明してもらえばその不安も和らぐでしょう。

自分達でやれることはやってしまえれば圧縮できるものもある

技術力や知識がなければ発注者がやれることはそう多くないように思われがちですが、自分たちで写真を撮る、原稿も用意する、デザインの修正回数は少なくなるように定める、コミュニケーションのロスを減らす工夫をするなど、プロジェクトに積極的に関与するようにすれば意外と圧縮できる項目があったりします。

また、見積りにはリスクヘッジ分の金額が上乗せされていることもあるため、そのリスクがゼロだとわかればその分だけ金額を抑えられることもあるでしょう。

法人よりも個人の方が安い

法人にしか発注してはいけないという決まりがなければ、個人の制作者に依頼することも可能です。

クラウドワークスやランサーズのような個人の制作者と繋がるためのプラットフォームもあるため、かなり予算を抑えることができるかもしれません。

ただし、当然ですが、法人に求められる安心感や何かが起きた際のバックアップ体制などは期待できないのと、規模が大きいサイトになると物量的な限界が存在してしまいます。

こういったリスクなどをうまく吸収できたり、発注側で管理をすることができれば大きな選択肢のひとつになるかもしれません。

工程ごとに細かく見積もられている方が明確ではあるが問題もある

ホームページの制作には様々な工程が存在します。

  • 企画
  • 構成
  • デザイン
  • コーディング
  • システム開発
  • テスト
  • 進行管理

かなり単純化してもこれだけの工程があり、細かく書けば何倍もの項目になりますが、そこまで細かい項目で見積りを出す会社は少ないと思われます。

これには理由があり、細かい項目に金額をつけてしまうと合算した時にどうしても高くなってしまう傾向にあるからです。

1ページなら1万円だけど、2ページなら1万8,000円でできるというのもよくある話です。

同じことが企画や構成制作などでも言えます。

見積りを出してもらう際に、どうしても細かい項目が欲しくなり、1ページ増えたらいくら増えることになるのかなどの単価を把握しておきたくなりますが、その行為自体が見積りの全体額を引き上げてしまっているかもしれないことを認識しましょう。

また、会社によってはある程度含みを持たせて出すことで、多少の増減はその金額の中で収めるように努力してくれる場合もあります。※さすがに「ホームページ制作一式100万円」としか書かれていないようなものは論外ですが。

それを無視して詳細項目まで出させてしまうと、ページや要件の増減があった場合にはどうしても追加の見積りが必要になってしまうのです。

すべてが予定通りで、ページや要件の追加などなく、あったとしてもきちんと支払いができるということであれば詳細な見積りがあった方がお互い安心かと思います。

見積りに漏れがないかを確認するのはとても大変

ホームページの制作経験が少なければなおさらですが、経験があっても見積りをチェックするのは骨が折れる作業です。

  • 項目に漏れはないか
  • 要件に漏れはないか
  • ○○はやってくれるのか
  • 単価におかしなところはないか

RFP(提案依頼書)と付け合わせて確認しなければなりません。

合算金額が予算内であればOKということにはならないため、漏れなど気が付ける範囲は全て確認しなければなりません。

また、ただでさえ安くない金額を提示されているにもかかわらず、漏れがあったと指摘するとその項目が追加されてさらに高くなってしまうという心理的ハードルもあります。

漏れに気が付いたとしても言わずにいて、企画書内にその要件が含まれているからきっとどこかに含まれているのだろうと思ったと、とぼければ同金額でやって貰えるのではないかというような良くない考えが生まれてしまうのもわからなくはないくらいに見積りチェックは大変です。

見積書も一つの成果物である

会社によっては見積書のフォーマットが決まっているなどという顧客側には関係のない理由で、見積書が説明不足でわかり難いものになっている場合もよくあります。

そんな事情は無視して、わかりやすい見積りになるように書き換えて貰いましょう。

見積書は契約する前に相手が出す資料ですので、何の拘束力もありませんが、見積書も企画書などと同じで一つの大事な資料です。

企画書や提案書の善し悪しを判断するのと同じくらい厳しい目を持ちましょう。

誰もが見てわかる内容でなければ、それが発注書という名の契約書に変わった時に、いったい何をいくらで制作して貰う契約なのかがわからないということになります。

言った言わないなど、後で問題が起こらないようにするためにも、わかりやすい見積りを貰えるように努力しましょう。

よくない予算の設定方法

費用対効果が読めないと、なかなか予算を設定するのは難しいと思います。

そうなると思いつきがちなのが「逆にどれくらいが相場なのか、どれくらい予算をかけるべきか制作会社に聞いてみる」という方法です。

これは最悪なアプローチになります。

WEBサイトはひとつひとつ完全にオリジナルで作られ、その目的も会社の財政状況もすべてが場合によって違います。

30万円で作った仮初のホームページでも充分に価値を発揮することもあれば、500万円かけないと意味がないこともあります。

それを本当に判断できるのは会社内部の情報に精通した人だけでしょう。

制作パートナーには、何にいくらかかるのかは聞いてもいいですが、どれくらいかけるべきかは聞いてはいけません。

また、「可能な限り安くしたい」という気持ちもわかりますが、それはただの願望なので表には出さないようにしましょう。

想定していた予算とまったくかけ離れていたら

残念ながら元々の感覚が大きくずれているとこうしたことは起こります。

思っていたよりも安いということであれば幸せですが、たいていの場合は逆でしょう。

少々の差であれば頑張って予算を上積みするか、値切るか、何かを我慢するかという選択肢があるかもしれませんが、一桁違うとか、倍以上違うとなるとそうは行きません。

そうなってしまったら

  • もっと予算を捻出する
  • 目的をかなり絞って予算内で叶えられるものにする
  • 個人の制作者に見積りを依頼する
  • リニューアルそのものを諦める
  • 自分達だけでやる

くらいしか選択肢は出てこないでしょう。

これはもう仕方がないと割り切るしかないと思います。

値切りは誰も幸せにならない

あまり書きたくはないことではありますが、見積りを値切って幸せになるのはその瞬間だけです。

上司から「税抜きではなく税込みで200万円以内にして貰え」というような命令が下ることもあるかもしれません。しかしながら、その差分はどこへ消えてしまうのでしょうか。

恐らくは制作者の無理や手抜きというカタチで消費され、結局は成果物の質に還元されてしまいます。

支払うべき金額を支払って気持ちよくスムーズに制作が進行するのと、いくらかを値切ったがゆえにギクシャクした進行になるのとではいったいどちらが良い成果物となる可能性が高いかを考えてみるべきかと思います。

値切られるのを想定し、最初から少し高めの見積りを出す会社も無いとは言いませんが、それを疑ってかからなければならない相手を制作パートナーに選ぶこと自体を見直す必要があるのではないでしょうか。

まとめ

ホームページのリニューアルは決して安い買物ではないので、その分だけ慎重であるべきと思います。

しかし多くの知見がないと見積りの妥当性まではなかなか判断できないものです。

そんな時は複数社の見積りを比較して大きな矛盾がないかを確認するか、見積りを作れる能力のある人に確認してもらうのが良いでしょう。

ホームページリニューアルラボではホームページリニューアルカウンセリングのオプションとして見積りの妥当性チェックをご提供しています。

出された見積りに不安が残る場合、お気軽にお問い合わせください。