【リニューアル七不思議 その1】なぜか先に決まっているホームページリニューアルの納期
初版公開日:2019/4/27
最終更新日:2019/4/27
こんにちは。
WEB制作会社と事業会社にて制作側と発注側の両方の経験を合計12年以上、WEB担当(ディレクター・エンジニア・SEOコンサル)として中小企業から大手企業まで幅広いクライアントのWEBにおける課題解決をお手伝いしてきました竹内と申します。
この記事のタイトルには長年の疑問や、やるせない気持ちが多く含まれています。
タイトルに言いたいことはすべて含まれてしまっていますが、リニューアルプロジェクトにおいて最初から納品日や公開日が決まっていることが少なくないことにずっと違和感を覚えています。
公開希望日であればいいのですが、大した理由もなくなぜか公開日だけが決まっていることが少なくありません。
この記事ではそれの何がおかしいのかということと、ホームページリニューアルの各工程を終えるのにどれくらいの期間が必要なのかを書いてみたいと思います。
この記事を読んで「確かに変だ」と思ってくれる人(発注者)が一人でもいれば嬉しいです。
こんな公開日の決まり方は嫌だ
私たちが納品希望日のヒアリングをさせていただく際には必ず「なぜその日なのか?」を聞くようにしていますが、納得のいく返答が返ってくることはまずありません。
多いのは以下の様な感じでしょうか。
- だいたい三ヶ月後くらいかなぁ。今5月だから8月のお盆前くらいにOPENできたらいいね
- 9月から期が変わるから期初に発表できればいいかな
- 新商品の発売があるからそれに併せて公開できればいいな
- 今期予算内でやりたいから3月末までには納品して欲しい
どれもまともな理由ではありません。
そして次いで多いのは「とにかく早くやりたい」という回答でしょうか。
希望を聞いているだけなので一旦は「なるほど」と言って受け入れますが、直ぐに「それはリニューアルの目的が叶う確率が低くなってもその日に公開したいですか?」と聞いています。
すると多くの方は「それでは困る」と言うのです。
確認されれば最初の答えがおかしいということに気がついて貰えますが、確認が無ければ希望日が絶対的なものとして考えられてしまいます。
リニューアルをすること自体が目的の場合はこのような公開日の決まり方でもいいかもしれませんが、そうではない場合、公開日が先に決まっていることに大きなメリットはないでしょう。
公開日からの逆算で、イイものが作れるはずがない
例示が適切かわかりませんが、マイホームを建てる時に一ヶ月後に住み始めたいからそれまでに建てて欲しいと要望するでしょうか。
どんな家でもいいのであれば可能かもしれませんが、家を建てるのに期日を先に決めてそれに合わせる人はいませんよね。
快適な住み心地という目的を叶えるために様々なことを検討し、予算オーバーなら予算内の別の方法を検討し(時には妥協し)、その結果としてスケジュールが決まります。
これはホームページでも同じことが言えます。
まずは目的があり、それを予算内で叶える手法を考え、それを形にするための期間が決まります。
最適な手法を選ぶのに期日が先に決まっていることがどれだけの足かせになるのかを考えてみましょう。
ホームページのリニューアルにはどれくらいの期間が必要なのか
期日を先に決めることがナンセンスだとわかっても、制作パートナーの都合だけで期日が決まるのもおかしな話です。
今度は逆の憤りになりますが、家を建てるのに施工会社が提示した期日に注文をつけられないのも少しおかしな仕組みだとは思います。
制作パートナーの言いなりにならないように、ある程度のスケジュール感覚は身につけておくべきでしょう。
ホームページリニューアルの全体の流れを理解するを元に、工程ごとにどれくらいの期間が必要かをまとめてみました。
例によって50~100ページ以内くらいの特別なシステムが組み込まれていないWEBサイトのリニューアルの場合です。
工程 | 目安期間 |
---|---|
制作開始前に必要事項を決定する | 1~2ヶ月 |
制作パートナーを探す | 2週間 |
コンペ・オリエンテーションを開催し制作パートナーを決定 | 1ヶ月~ |
要件定義・スケジュール決定 | 2週間~1ヶ月 |
ページ構成(ワイヤーフレーム)制作 | 1~2週間 |
デザイン制作・決定 | 1ヶ月~2ヶ月 |
HTMLコーディング | 2週間~1ヶ月 |
フロントエンド機能(JavaScript)開発 | 2週間~1ヶ月 |
バックエンド機能(いわゆるシステム)開発 | 1ヶ月~2ヶ月 |
テスト | 1週間~2週間 |
公開作業 | 1日~3日 |
受け入れ検収 | 1週間~2週間 |
同時並行できる工程もあるため、あえて合計は記載しません。
とても乱暴に言うと、様々な準備をして制作パートナーを選定するまでに2ヶ月、作るべきものが決まるのに1ヶ月、デザインに2ヶ月、コーディングに1ヶ月(デザインと並走可能)、システム実装に1~3ヶ月(要件による。デザインなどと並走可能)となります。
ざっくり見積ると、制作が開始される間に3ヶ月、デザインが開始されてから最低3ヶ月くらいは見込んでおくといいでしょう。
これで気がついた人もいると思いますが、制作の前後でかかる期間が大して変わりません。
制作パートナーにスケジュールを厳しく迫るよりも前に、自分たちができることをいかに早くやるかで全体のスケジュールは圧縮可能なのです。
制作側の立場からすると「そんなに急いでいるのに今まで何をしていたんだ?」と思ったことは1回や2回ではありませんでした。
「とにかく早くやりたい」と望むのであれば、何よりもまずは自分自身が早く動くべきでしょう。
納得いかなければ説明を求める
どれだけ知識をつけたとしても実際に制作を行うのは制作パートナーです。
制作パートナーが「1週間かかります」と言ったものを「3日でできるはず!」と詰め寄ったとしても誰も幸せになりません。
もしも制作パートナーが出したスケジュールに違和感があるのであれば、なぜそれだけの日数がかかるのかの説明を求めましょう。
そしてもしも「3日でできるはず!」という根拠があればそれを聞いてもらってください。
制作パートナーの能力が低くて時間がかかってしまうということもありますが(その場合はそのパートナーを選んだ自分を嘆くしかないですね)、リスクヘッジの余裕が組み込まれている場合などもあったりします。
大事なのは不満をぶつけることではなく、不満だと感じたことをパートナーと話し合って解消できる関係性や仕組みを作るところにあります。
それができなければ例え数日間のスケジュールを削って公開を前倒しできたとしても、決して良いサイトにはならないでしょう。
制作パートナーとなあなあになれというのではありません。
対等なパートナーとして一緒に目的を達成できるホームページを作るのです。
まとめ
この記事には少なからず私たちが長年晒されていた違和感に対する怒気が含まれています。
- 合理的ではない都合で先に決まっている期日
- にわかな知識で制作パートナーを抑え込もうとするクライアント
- 何もわからないのをいいことに、クライアントを丸め込もうとする制作者
- 制作パートナーの言いなりになってしまうクライアント
- コミュニケーションをとろうとしない両者
こんな関係性で本当に良いものが作れるのでしょうか。
「とにかく早くやりたい。機会損失をしたくない」という気持ちはとてもよくわかりますが、中途半端なものを作っても大きな成果は期待できないでしょう。
是非、相手を早く動かすことよりも、自分が早く動くことに焦点を当ててみてください。
ホームページリニューアルカウンセリングでは、制作前の工程をスムーズ進めるためのお手伝いをさせていただいています。
お気軽にお問い合わせください。