目的別WEBサイトリニューアルの目標設定の勘所
初版公開日:2019/4/14
最終更新日:2019/4/20
WEBサイトリニューアルの目的によって目標設定の方法は少し異なります。
計測する指標も変わってきますし、明確な数値で取れない場合もあります。
そして時にはWEBサイトをリニューアルすることが目的を叶えるための最短経路ではなく、別の手段に予算を投じた方が良さそうだとわかることもあります。
WEBサイトをリニューアルすること自体が目的ではないのであれば、一旦WEBサイトをリニューアルすることだけに捕らわれず、どうすれば目的を叶えられるかを深く検討してみましょう。
ここではそれも深く検討したうえで、それでもWEBサイトを用いることによって目的を叶えたいという場合に、どんな数値が目標となり得るかを考えてみたいと思います。
「売上をあげる」という目的の場合
一番シンプルな目的がこれではないでしょうか。
計測も目標の設定もそれほど難しくはないでしょう。
先ずは現在のWEBサイトからどれだけの売上があるのかを集計します。期間は長い方が良いですが、時代が違い過ぎて外的要因が変化し過ぎていると正しい目標が置けなくなるので、1年を目安にすると良いです。
もしも、WEBサイトからどれだけの売上があるのかを集計していない場合は、どんなに少なくとも一ヶ月分の集計は必ずしましょう。
実績に基づかない目標値はただの願望でしかありません。
過去の数値が取得できたら次は現実的と思われる目標値を論理的に導き出してみます。
例えば現在1,000PVで1件の購入があるとします。2000PVあれば2件の購入です。
月間で10万PVあって100件の購入があるのだとすれば、PVを倍に増やせば+100件の売上が期待できます。
当然、購買層のユーザーが純増しなければこれほど単純な数字にはなりませんが、目標値はこれくらい簡単なロジックで導き出せる数値であることが望まれます。
PVを増やすことが難しそうであれば、1,000PVあったうちに2件購入して貰えるように、魅力を倍増させるといった方向性でもいいかもしれません。
もちろん両方の掛け合わせも可能でしょう。
こうしてWEB経由での売上について考えられたら、次は別経路での購入への影響についても考えます。
WEBでの購入が増えた分だけ相乗効果で別経路での売上も増えるかもしれませんし、もしかしたらWEBでの購入が便利になった分だけ減ってしまうかもしれません。
影響範囲がどこまでかを考えるのはとても難しいですが、すべての販売経路での売上をリニューアルの前後で比較できるように準備することが重要です。
「会社・商品の認知度を上げたい」という目的の場合
会社や商品の知名度を上げたい、話題を作りたいというのもよくある目的だと思います。
この目的はWEBサイトのリニューアルだけでは叶わないことが多いどでしょう。
通勤途中にあるラーメン屋が新装開店となっていたら多くの人が気が付くと思いますが、普段目にしないどこか遠くのラーメン屋が改装しても誰も気がつきません。
もしも毎日あなたのサイトを訪れてくれている人がいればリニューアルするだけでも気が付いて貰えるかもしれませんが、既に毎日来てくれている人が気が付いてくれたところで認知度の向上とはなりません。
そうなるとWEBサイトだけではなく、PR戦略も併せて見直す必要があることに気が付くはずです。
WEBサイトのリニューアルにあてようと思っていた予算の配分を見直して、少しでもPRに配分した方が本来の目的が叶うかもしれません。
「デザインが古くなったので新しくしたい」という目的の場合
時にはとても単純に、古いホームページが会社のイメージを損なうという理由でリニューアルをしたいという場合もあるでしょう。
個人的にはそれだけのために予算を投じるのは少々もったいないと感じます。
デザインは3年もすればどうしても古く感じますし、その度にリニューアルできる予算があれば良いですが、それだけ余裕があるのであれば従業員に少しでも還元した方が皆が幸せになれると思います。
せっかくデザインのリニューアルをするのであれば、誰のためのデザインか?を目的にする方がお得だと思います。
新しいデザイン、会社のイメージを誤解されたくないのは誰なのか?クライアントか消費者か、はたまた採用応募者なのか。
少しターゲットを絞ってあげるだけで、一石二鳥の効果が得られるのではないかと思いますのでお勧めです。
リブランディングのためにリニューアルしたいというのも同様だと思います。
なんとなく新しくしたいだけでは目標があやふやになってしまうので、こういうターゲットにこう思われたいというところまでを目標にするとよいでしょう。
「良い仲間を採用したい」という目的の場合
採用はその分野だけで様々なプロフェッショナルがいるくらい重要かつ難しいものです。
WEBサイト一つで優秀な人材が嘘のように集まるというのはかなり難しいでしょう。
しかしその可能性を高めることはできると思います。
まずはホームページが高印象だったから応募したという人を増やすところから始めましょう。
目標となる値は、リニューアル前後での応募者数の推移と内定者数や率の推移などが比較的わかりやすく取れると思います。
そしてこの目的の最大の特長とも言えるのが、そのサイトを見て実際に入社した人が仲間として増えていくところにあります。
中長期的な話にはなりますが、サイトを見て実際に入社した人が望むべく仲間だったのであれば、サイトの何を見て良いと感じたか、何があればもっと良かったか、入ってみてのギャップは何かなど、詳細にヒアリングすることが可能です。
普段なかなか取ることができないユーザーアンケートを思う存分取ることができるので、これを活用しない手はないでしょう。
「新しいデバイスに対応したい」という目的の場合
スマートフォンへの対応が叫ばれてから久しいですが、今後もVRゴーグルなど様々なデバイスへの対応が迫られるかもしれません。
もしもまだスマートフォンへの対応が出来ていない企業は早急に対応することをお勧めします。
新デバイスへ対応することのメリットは、単純に取り逃していたユーザーの獲得となるでしょう。
アクセス解析ツールを用いるなどして、対応後にそのデバイスでのアクセスがどれだけ増えるか、そのデバイス経由での購買や問い合わせがどれだけ増えるかが目標となるかと思います。
「検索エンジンで上位に表示されるようにしたい」という目的の場合
この目的は様々な危うさを含みますので、こういったニーズを目や耳にしたときはもう少し深堀りしてみましょう。
深堀りというのは、なぜ検索エンジンで上位に表示されるようにしたいのか?と問うことです。
そうすることで本当の目的を知ることができるでしょう。
そして本当の目的は恐らく上記で挙げた目的のどれかにに含まれると思いますので、それを叶える努力をしましょう。
「検索エンジンで上位に表示されるようにしたい」というのは一見ちゃんとした目的のように見えますが、本来の目的を叶えるための手段の一つに過ぎないのです。
これを間違えなければ、結果的には検索エンジンで上位に表示されるようになっていることでしょう。
この件と同様に、目的っぽい言葉の裏に本当の目的が隠れている場合もありますので注意しましょう。
まとめ
よくあるリニューアルの目的と、目標を設定する際の注意点などをまとめてみました。
目的それ自体に優劣はありませんが、目標の設定方法や検証方法・改善方法には善し悪しがあります。
施策前後の数値を比較できるか、目標数値を達成したら目的の達成と言えるのかを必ずチェックし、正しく目標の設定を行いましょう。
一番のコツは目的を持ち過ぎず、できれば一つに絞ることです。